日本のオンライン授業事情、遅れてる?世界と日本、比べてみました

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コロナ関連


こんにちは!
のぶりんです。

2月末に政府から休校宣言が出されてからというもの、小学校から大学まで休校が続いています。事実上、授業が行われておらず、子供たちは学校という場所を奪われ、教育の機会を失っています。仕方のないことですが…
一部の私立の学校では、オンライン授業の取り組みを始めていて、上手くいっているところもあるようです。しかしながら、日本の公立小学校~高校では一部を除いて事実上オンライン授業は行われていません。海外ではオンライン授業をさっさと進めている国もいます。

今ほどオンライン授業の需要が望まれている時はないのに、どうして日本ではその導入が進まないのでしょうか?詳しい事情を調べてみました。

日本でオンライン授業が進まない理由 その①

日本でオンライン授業が進まない第一の理由はまず予算の問題でしょう。インフラ整備がきちんとなされていないのです。昨今声高に叫ばれているICT教育(Information Communication Technology)ですが、中々導入が進みません。ICT教育とは簡単に言うとプロジェクター、電子黒板、プラズマディスプレイなどの出力機器や教科書に準拠したデジタルコンテンツ、実物投影機、DVDなどの入力系の機器を活用して授業を行うことです。ただ、そのためにはコンピューターやインターネット、社内LANなどの環境を整える必要があります。

以下の表は日本と世界各国の学校での、生徒一人当たりのPCの普及率です。つまり、日本では生徒5.6人当たりに一つのPCしか割り当てられていないということです。

国名(調査年) 教育用PC1台当たり児童    生徒数(人/台) 対象
日本(2018年) 56 小中高
アメリカ(2008年) 3.1 小中
イギリス(2012年) 6.8
  4.2
オーストラリア ビクトリア州 1.72
  1.04 中高
シンガポール(2011年) 4 小中高
韓国(2012年) 4.7 小中高
フィンランド(2013年) 3.5 小中
オランダ(2012年) 5 小中
  4.9 中高
デンマーク(2011年) 2.9 小学4年相当
  2.9 中学2年相当
  2.1 高校2年相当

出典:富士通総研「教育分野における先進的なICT 利活用方策に関する調査研究  報告」 
出典:文部科学省「学校のICT環境整備の現状平成30年(2018年)3月1日 

現在のような非常時にオンライン授業を行うためには、その授業をどこから配信するのかにもよりますが、仮りに教師が学校から配信するとなるとインフラ整備は絶対に必要です。そのための予算が充分に割かれていないことは一番の問題です。

日本でオンライン授業が進まない理由 その②

学校現場でのインフラ整備もさることながら、日本でICT化が進まないもう一つは家庭側でのネット環境の整備です。オンライン授業を行うには家庭側にも有線やWiFiの整備が必要です。しかしながら、個々の家庭状況にも差があり、PCがない、インターネット環境がない家庭も存在します。その場合、自宅でオンライン授業の配信を受けることは無理なのです

例えば、京都府南丹市のある市立小学校には配信に必要な機材は揃っていて、一部の保護者からは授業のライブ配信の要望もあるそうです。しかしながら、「インターネットにつなぐ環境やPCがない家庭がある以上、学習に大きな差が出るやり方はできない」として、授業のライブ配信には踏み切れないといいます。”平等性”というのも大きな壁の一つと言っていいでしょう。

世界各国の実施状況は?

日本ではICT教育の遅れから、コロナ禍の今のような状況でもオンライン授業が取り入れられていない状況を説明しました。では、他国の状況はどうでしょうか?
アジア圏でいえば先進国とされるシンガポール。この国では4月の1週目から公立学校で週一回オンライン授業が導入されました。シンガポールは “学校” が家庭より安全な場所としてなるべく休校を避けてきた経緯があります。しかしながら、コロナウイルスへの感染者の伸びが予想以上に早かったことからオンライン授業への切り替えが進みました。

IT先進国のアメリカでは、ICTを活かす環境に整えたり、教員のICTスキル向上に取り組んできた経緯があります。また、3月から殆どの学校ではオンライン授業に切り替わっていますが、必要に応じて学校側がパソコンやタブレットを用意し生徒に配布しています。すぐお隣の韓国もICT教育の整備は日本より進んでいるので4月9日からオンライン授業へと移行しました。中国でも同様にオンライン授業は取り入れられています。

ヨーロッパではフィンランドではICT環境の整備が1990年代から取り組まれていたので、オンライン環境への移行は準備が整っていたと言えるでしょう。また、エストニアも電子国家と言われるだけあって教育のデジタル化には力を入れてきました。いまではバルト3国のラトビア、リトアニアと、デンマーク、フィンランド、アイスランド、ノルウェー、スウェーデンなどの北欧諸国と協力してオンライン教育の無料リソースを共有を行っていくとのこと。

オンライン授業は万善なのか?デメリットは?

では、実際に学校に通えない今のような状況では、オンライン授業は学力に後れを取らせないようにする万能策となりうるのでしょうか?
各国の実施例を見てみると、オンライン授業はあくまでも対面授業が受けられない場合の緊急的、補助的要素が強いと思えます。例えば、フランスを例にとってみてみましょう。

フランスではコロナウイルスのパンデミック以前から教育省が遠隔授業の準備を着々と進めていました。そして、もちろん教師が子供たちの各パソコンに接続してオンライン授業を行えるプラットフォームの準備やそれに関わるサーバーへの負荷も綿密にテストされ1500万人までのアクセスが保障されていました。

しかし、4/2の段階ではタブレットのない家庭まで合い符が行き届いていなかったこと。そして、フランスで用意された遠隔授業が基本的に「自習型」のものであったことです。まず、学校から「休校中の授業内容を随時アップロードする」という一斉メールが送られ、生徒がホームページにアクセスし、課題をダウンロード。そして親が課題をプリントアウトしなくてはならず、膨大な量の印刷にプリント用紙が切れてしまい、紙が品切れを起こしてどこでも買えない状態になってしまいました。また、課題は送られてくるだけで、小テストのようなものをスキャンして返送しても先生からのコメントは全くなく、先生とのコミュニケーションはゼロ。ICTを通じてカメラ越しに先生と対話できる学校もあるようですが、特にフランスの小学校ではこのような「自習型」の遠隔授業が一般的のようです。

このような自習型の遠隔授業には大きく3つ問題があります。
子供が小さければ小さいほど親がついていなくてはならない
 子供が低学年だとそもそもパソコンの操作の問題があるので親がついていなくてはなりません。また、親自身もテレワークとなっている可能性があるので、使えるPCにも限りがあるかもしれません。
課題プリントアウト型だと印刷用紙切れの問題が起きる
新しく学ぶ課題を自力でこなせる子供は多くないため、親が子供の勉強を見なくては遠隔授業が成り立たない。また、課題だけを長時間こなす形態に無理があ

世界各国で果敢に行われているオンライン授業ですが、それでも対面授業のように 生徒一人一人の学習面の問題点を補えるようなものではないことが分かりました。また、「自習型」のように課題だけをこなすような一方通行なものに偏ってしまわないこと、ともすればずっと画面に向かいっぱなしにならないように学校側で時間割などのカリキュラムを組んだり、または録画された授業がいつでも見れるような勉強時間に柔軟性を持たせられるような配慮も必要だと感じました(シンガポールで実践)。

まとめ

実際、なぜこんなに叫ばれているのに日本でオンライン授業が進まないのか調べてみると段々その理由が見えてきました。また世界各国のオンライン授業がどのように実施されているのか、それらに問題点はないのか調べていくうちに、オンライン授業そのものの問題点も見えてきました。

早急にオンライン授業を実施できない日本の教育現場に問題があることは事実ですが、できないことを責め批判するだけでは何も始まりません。例えば、教員一週間ごとにプリントを配布、回収して採点する家庭学習を実施、間違いの多かった問題については教員が解説動画を独自に配信し、必要に応じて個別に電話での指導も行うなどを実践している公立の学校もあります。

学習プリントの配布という同じ方法でも、課題へのフォローの仕方において各校長のリーダーシップ、組織マネジメントによる格差が生じているのが現実です。仮に校長の指示がないなら、教員がボトムアップで実現すればいいするという方法もあります。また遠隔授業が実施できたとしても、それに慣れてきて誰てきた子供に学ぶ意欲を持続させる工夫も必要ですね。

ウイルスとの共存が必要になると思われる今、大切なことはやはり教育の中で「先生と子供たち」がきちんとつながれる環境を作ることだと私は実感します。

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